開発・設計 豆知識
組み込み機器の開発・設計を委託する際に押さえておくべきこと
- IoT機器
- 回路・基板設計
- 機構設計
組み込み機器の開発や設計を外部に委託する際、適切な進め方を理解しておくことが成功の鍵となります。当記事では、組み込み機器の設計を委託する際に押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
組み込み機器とは?
組み込み機器は、特定の機能や用途に特化した電子部品や装置を指します。プロセッサやFPGA、基板、筐体など、多くの要素が含まれ、それぞれがシステム全体の性能や信頼性に影響を与えます。
例えば、以下のような要素が挙げられます。
- プロセッサ、FPGA、ASIC、ソフトウェア
- 基板・ボード
- 筐体
- 機械装置
委託する際に押さえるべきポイント
仕様の明確化
外注において最も重要なのは、委託元が要件や仕様を可能な限り明確にすることです。具体的には、以下の内容を事前に整理しておくとスムーズな進行が可能になります。
- 搭載する機能リスト
例:チャンネル数、通信方式(Wi-Fi、Bluetoothなど)、外部インターフェース(USB、Ethernetなど)等 - 性能要件
例:処理速度、消費電力、サンプリングレート、精度 等 - 物理的仕様
例:外形寸法、重量、筐体の材質や耐久性、放熱性 等
仕様が曖昧な場合、ベンダー側が独自の解釈で設計を進めることになり、結果としてコストアップや不必要な機能追加、納期遅延が発生する可能性があります。
開発・設計委託先の選定を適切に行う
とはいえ、いくら仕様を明確化しても委託先によってその開発・設計品質は大きく異なります。そのため、委託先選定においては、選定基準を設けることが重要です。あくまで一例ですが、以下の基準をもとに選定を進めることを推奨します。
- 技術力と実績:過去の開発事例や関連分野での経験を確認する。
- 柔軟性:仕様変更や追加要件に対する対応力。
- コミュニケーション力:定期的な進捗報告や仕様確認がスムーズに行えるか。
当社の組み込み機器の開発・設計実績をご紹介
【基板設計】ブロア(エアポンプ)駆動試作基板

当事例は、マイクロブロア(エアポンプ)駆動試作基板の開発事例です。当マイクロブロアでは、駆動させるために別途回路が必要な製品であり、お客様は、「とにかく早くマイクロブロアをテストで動かしたい…」といったお悩みを抱えていました。そこで、基板開発の実績が豊富な当社へお声かけいただきました。
試作1枚のご依頼であったこと、回路規模が小さいことを踏まえて、迅速に手作り配線の基板を開発しました。納入後、お客様からは「スピーディーに対応してくれて非常に助かった!」と非常に嬉しいお言葉をいただいています。
【筐体設計】GPSモジュール

当事例は、GPSモジュールの開発事例で、前モデルへ機能付加を行う新モデルの筐体の機構設計を承りました。前モデルのGPSモジュールではGPSの現在地のみで経路を取得できなかったため、新モデルではGPS経路を取得できる機能の付加、さらにはGPSモジュールの強度向上を目指し、開発を進めました。
具体的には下記の要件を基にGPSモジュールの機構設計を進めました。
・防水設計
前モデルでは一部防水設計であったが、防水設計(IPX7相当)とするため端子部分などを細かく見直し設計を行いました。
・GPSモジュールの耐荷重向上
お客様より「人が乗っても壊れないようにしたい…」とご相談いただき、前モデル耐荷重60kg→新モデル耐荷重100kgを目指し設計変更しました。リブ・ボスを増やすなどの形状対策はもちろん、材質をPCからガラス入りナイロンに変更するなど材質による対策まで行いました。そして、変更を行った後に、強度解析を行い、確実に要件を満たせているかチェックしました。
・ストラップ部の耐荷重向上
前モデルではストラップ部が樹脂部品であったが、デザイン性・強度を考慮して、金属部品に変更しました。また構造も変更することにより、ストラップ部の耐荷重は50kgから100kgに向上しました。
・基板サイズの変更
前モデルより内部に設置する基板サイズが変更するため、筐体サイズも基板サイズに合わせて設計を行いました。
・その他
前モデルと比較し、タクトボタンや状態表示用LEDなど複数のハード機能を追加し設計対応しました。
これらの機構設計により、無事お客様の要望を満たすことができました。ちなみに当事例では、筐体の機構設計のみならず、筐体の製造・組立・ID登録・検査・ストラップ製造までまとめて当社が承りました。
組み込み機器の開発・設計なら、電子機器ユニット受託開発・製造センターにお任せください
電子機器ユニット 受託開発・製造センターでは、構想設計から回路設計・基板設計・機構設計、さらには製造・試験までワンストップで対応しています。このワンストップ対応体制により、電子機器ユニットの試作・開発を丸投げできるパートナーとして幅広いお客様のご要望を解決してまいりました。
組込み機器の開発・設計・製造の委託先にお悩みの皆様、是非一度当社にご相談ください。
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