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機構設計の基礎:熱流体解析の流れと利点

  • 機構設計

電子機器ユニットの開発・設計において、機構設計は非常に重要な工程です。そんな機構設計を行う上で、欠かせないのが熱流体解析です。当記事では、この熱流体解析に焦点を当て、技術情報をご紹介します。

機構設計の役割

そもそもですが、機構設計とは、製品の構造や機構を設計する工程です。強度、耐久性、動作性、安全性などを考慮しながら、3D CADなどを用いて設計を行います。電子機器ユニットにおいては、部品の配置、配線、筐体の設計などが機構設計の範囲となります。

機構設計者は、製品の機能要件を満たすだけでなく、製造性、組み立て性、メンテナンス性なども考慮した設計を行う必要があります。

熱流体解析とは?

熱流体解析とは、コンピュータシミュレーションを用いて、熱や流体の挙動を解析する技術です。電子機器ユニットにおいては、発熱による部品の温度上昇や、空気の流れによる冷却効果などを解析することができます。熱流体解析を行うことで、設計段階で製品の熱問題を予測し、対策を講じることが可能になります。

熱流体解析の利点

熱流体解析を機構設計に導入することで、以下のような利点があります。

  • 試作回数の削減: 熱問題を事前に予測することで、試作段階での設計変更を減らし、開発期間の短縮とコスト削減につながります。
  • 品質向上: 熱による不具合を未然に防ぎ、製品の信頼性向上に貢献します。
  • 性能向上: 冷却効率を最適化することで、電子機器ユニットの性能向上を実現します。
  • 小型化・軽量化: 熱対策部品の削減などにより、製品の小型化・軽量化に貢献します。

熱流体解析の流れ

①機構設計

まず、解析対象となる製品の機構設計を進めます。

②目的の明確化

まずは、どのような現象を解析したいのか、具体的な目的を明確にします。(例:電子機器の冷却性能評価など)

③メッシュ作成

モデルを細かい要素(メッシュ)に分割します。メッシュの精度は、解析結果の精度に影響します。解析目的に合わせて、適切なメッシュサイズを選択します。

④物理現象の設定

そして、下記のように物理現象の設定を行います。

・解析対象となる流体(空気、水など)の物性値の設定(密度、粘度、熱伝導率など)
・熱源(発熱部品など)の発熱量と境界条件の設定(例:筐体温度、流入口の風速など)
・乱流モデルや輻射モデルなど、必要に応じた適切な物理モデルの選択

⑤計算実行

設定した条件に基づき、熱流体解析ソフトウェアで計算を実行します。計算には、多くの時間を必要とする場合があります。

電子機器・IoT機器の開発・設計ならお任せください

いかがでしょうか。今回は、熱流体解析の流れと利点について解説しました。

電子機器ユニット 受託開発・製造センターでは、構想設計から回路設計・基板設計・機構設計、さらには製造・試験までワンストップで対応しています。このワンストップ対応体制により、電子機器ユニットの試作・開発を丸投げできるパートナーとして幅広いお客様のご要望を解決してまいりました。

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