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基板・ボードのリバースエンジニアリングの手順とメリット・デメリット

  • 回路・基板設計

電子機器ユニット 受託開発・製造センターを運営するSST設計開発センター株式会社では、現物から基板・ボードのリバースエンジニアリングを承っています。そこで、当記事では、基板・ボードのリバースエンジニアリングのメリット・デメリットをご紹介します。

基板・ボードのリバースエンジニアリングとは?

基板・ボードのリバースエンジニアリングとは、既存の電子基板や回路ボードを解析し、その設計情報や機能を再現する技術やプロセスを指します。このプロセスでは、基板に搭載された部品や配線パターンを調査し、それらの構成を理解することで、設計図や動作原理を導き出します。

この技術は、新しい製品開発や既存製品の改良、さらには競合製品の分析にも活用されており、製造業や電子産業で広く利用されています。特に、設計データが紛失した場合や部品の調達が困難になった場合に、リバースエンジニアリングは非常に有効な手段です。

基板・ボードのリバースエンジニアリングの手順とは?

現物がある場合(仕様書・データシート無し)

①現物の使用用途等の現状把握をヒアリングする

②現物を解析する

③解析結果を基に、回路図を作成その後部品リストを作成する

④ガーバーデータを基に、基板・ボードを製作する

古い回路図がある場合(現物無し)

①回路図通りに作ろうと思うと、廃盤部品が多い

②廃盤部品の相当品を選定する

③ガーバーデータを製作する

④ガーバーデータを基に、基板・ボードを製作する

基板・ボードのリバースエンジニアリングの流れ

基板・ボードのリバースエンジニアリングのメリット

①回路・基板設計データの再現

設計データが紛失した場合でも、リバースエンジニアリングを行うことで基板の設計情報を再現することができます。これにより、古い製品の再生産や保守が可能となります。

②コスト削減

既存の基板・ボードの回路構成や採用部品を解析することで、コスト効率の良い代替案を見つけることができます。これにより、新たな設計をゼロから行う必要がないため、開発費用や時間を削減できます。

③EOL品の再選定が可能

既存の基板内に搭載されているEOL品の再選定が可能となるため、さらなる基板の長寿命化や部品入手性の向上を期待することが可能です。

基板・ボードのリバースエンジニアリングのデメリット

①技術的に再現できないケースがある

高度な技術や専門知識を必要とするため、経験豊富なエンジニアや高度な解析ツールが必要です。特に、高密度設計や多層基板では解析が複雑化し、再現できないケースがあります。また、FPGA・マイコン等が搭載されているケースでは、解析できないため、同様に再現できないケースがあります。

②基板修理と比較すると、コストがかかってしまう

基板修理では、既存の基板・ボードを修理するため、コストを抑制することが可能です。一方で、リバースエンジニアリングは、再生産となるため、莫大なコストがかかる場合があります。特に、詳細な解析や高精度な再現を求められる場合には、コストが増大します。

電子機器ユニットのリバースエンジニアリング事例

当社がリバースエンジニアリングに対応した実績の一部をご紹介します。

ECUのリバースエンジニアリング

当事例では、「15年前に量産を行っていたECUを再度量産したいが、金型等を全て破棄しており対応してくれる先がない…」とお客様は非常にお困りで、幅広い電子機器ユニット関連のリバースエンジニアリングの実績がある当社にご相談いただきました。そこで、残っていた過去の基板図・部品表・検査情報と現品のみから量産化の検討を進めました。

まず、過去の部品表を基に部品を再検討しました。EOL品も多数あったためコンパチ品を含めて模索し、部品変更を行いながら再設計を行いました。また、パターン図などがなく、現品を細かく把握する必要があったため・・・

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