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多層基板・封止基板でも解析・リバースエンジニアリングはできるの? 

  • 回路・基板設計

「外見から回路を読み取れない多層基板や、樹脂で固められた封止基板はリバースエンジニアリングできないのでは?」とお悩みではないでしょうか。結論から言うと、適切な設備と解析技術を用いれば、多層基板や封止基板であっても回路の解析やリバースエンジニアリングは十分に可能です。本記事では、多層・封止基板の解析が難しい理由から、具体的な解析手法、再現できる成果物のレベルまで分かりやすく解説します。

多層・封止基板のリバースが難しい理由(内層・樹脂封止)

一般的な単層や両面基板(2層基板)であれば、目視やテスターを用いた導通確認だけで回路パターンをある程度追いかけることができます。しかし、多層基板や封止基板では、構造的な要因により解析の難易度が飛躍的に高まります。

難易度が高まる主な理由は以下の2点です。

内層パターンの隠蔽(多層基板)

4層、6層、あるいはそれ以上の多層基板では、表層(Top/Bottom層)以外の回路パターンが基板の内部(内層)に埋め込まれています。外観からでは信号線がどこに繋がっているのか物理的に見えません。

物理的なアクセス遮断(封止基板)

モールド樹脂(エポキシ樹脂など)で全体が固められている封止基板は、部品や基板そのものに触れることすらできません。無理に剥がそうとすると、基板や電子部品を破損させてしまうリスクがあります。

このように、対象物が「見えない」「触れない」状態になっていることが、リバースエンジニアリングを困難にしている根本的な原因です。

解析の手法(X線・断面観察・脱封止など)

目視できない内部構造を明らかにするため、専門の解析現場では「非破壊検査」と「破壊検査」を組み合わせた高度なアプローチを行います。主に使用される手法は以下の通りです。

解析手法検査タイプ主な目的と特徴
X線CTスキャン非破壊基板を破壊せず、3次元的に内部の配線パターンやビアの接続状態を撮影する。
断面観察(切断・研磨)破壊基板を垂直に切断・研磨し、顕微鏡で各層の厚みや微細な接続部を直接観察する。
レイヤー剥離(研磨)破壊1層ずつ精密に研磨して削り落とし、各層の回路パターンを個別に撮影・データ化する。
脱封止(デキャップ)破壊薬品(発煙硝酸など)やレーザーを用いて、部品を傷つけずに封止樹脂だけを溶かす・除去する。

まずはX線CTスキャンなどの非破壊検査によって全体の構造を把握し、重要な箇所を特定します。その後、レイヤー剥離脱封止といった破壊検査を行うことで、隠された内層のパターンや回路網を正確に導き出します。

どこまで再現できるか(成果物の粒度)

多層・封止基板のリバースエンジニアリングによって、どこまでのクオリティで回路を再現できるかは非常に重要なポイントです。結論として、最新の解析技術を用いれば「対象基板と同等の機能を持つクローン基板の製造」や「詳細な回路図の復元」が可能です。

得られる具体的な成果物の粒度は以下の通りです。

ネットリスト・回路図の復元

各部品がどのように接続されているかを完全に網羅した結線データ(ネットリスト)を作成し、CADで編集可能な回路図として復元します。

BOMリスト(部品構成表)

実装されている抵抗、コンデンサ、ICなどの型番やスペックを特定し、部品リストとしてまとめます。型番が消されている場合でも、パッケージ形状や電気的特性から同等品を特定します。もちろん、場合によっては一部特定できないケースがあります。(現時点で、100%保証はできていません)

参考の基板アートワークデータ(Gerberデータ)

リバースによる各層の写真データから各層の参考的なガーバーデータを生成します。
弊社ではこのデータと、前述のネットリストをもとに、基板のアートワークを再実施して製造用のガーバーデータ及びドリルデータを作成しなおします。

結果として、図面や設計データが手元に一切ない状態からでも、まったく同じ動きをする基板を再現するだけの材料が揃います。

マイコン・ROM搭載基板の扱い

基板上にマイコン(MCU)やフラッシュメモリ、ROMなどの「プログラムが書き込まれているIC」が搭載されている場合、回路パターンの抽出とは別にソフトウェア(ファームウェア)の抽出が必要になります。この点に関する対応可否は、ICのセキュリティ仕様によって異なります。

データ抽出ができるケース

ICにコピーガード(プロテクト)がかかっていない場合、または基板上に書き込み・デバッグ用の端子(JTAGやSWDなど)が残っている場合は、専用のツールを用いて内部のバイナリデータを読み出すことができます。

データ抽出が極めて困難なケース

近年のマイコンに多い「読み出し禁止(プロテクト)」が強固に施されている場合、内部データをソフトウェア的に吸い出すことは不可能です。

ただし、どうしてもプログラムの解析が必要な場合は、ICのパッケージを酸で溶かしてチップ表面を露出し、顕微鏡でメモリセルを直接解析する高度な物理手法(セミコンダクタ解析)を用いる選択肢もありますが、完全に動作を保証するものではありますが、完全に動作を保証するものではありません。

マイコンやROMが含まれる基板のリバースエンジニアリングを検討する際は、事前に「ファームウェアの読み出しが必須かどうか」を明確にし、対応可能な専門業者へ相談することをおすすめします。

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