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IoT機器・デバイス開発・設計の基礎:電池駆動の低消費電力設計

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「データ送信は1時間に1回だけ。だから電池は5年以上もつはずだ」

そう見積もっていたのに、現場では半年で切れてしまった。電池駆動のIoT機器では、こうした失敗がよく起こります。

やっかいなのは、試作段階では気づけないことです。机の上でACアダプタをつないでいる限り、この問題は表面化しません。発覚するのは、機器が数百台、屋外や設備の中に設置された後です。

当記事では、電池駆動のIoT機器で長寿命化するための考え方をご紹介します。なお、自社の求めるIoT機器において、どの電源方式を選ぶべきかについては、下記の記事をご覧ください。

IoT機器・デバイス開発・設計の基礎:電源供給の方法

IoT機器の電池寿命を決めるのは、「通信頻度」と「スリープ中の消費電力」

IoT機器は、ほとんどの時間を「スリープ(待機)」で過ごし、たまに起きて測定し、データを送って、また眠ります。この動きを分解すると、電池寿命を大きく左右する要因は、主に次の2つです。

・どれくらいの頻度でデータを送るか(通信頻度)
・眠っている間、どれくらい電流が流れ続けているか(スリープ中の消費電力)

まず通信頻度です。データの送信は、IoT機器のなかで最も電力を使う動作です。1分に1回送っていたものを1時間に1回にできれば、それだけで消費は大きく下がります。単純ながら、電池寿命に最も大きく効いてくる項目です。

もう一方が、スリープ中の消費電力です。たとえば1時間に1回、2秒だけ送信する機器なら、動いているのは1時間のうちわずか2秒。残りの3598秒はずっと眠っています。

眠っている間に流れる電流はごくわずかです。しかし、この3598秒は24時間365日続きます。しかも通信頻度を下げれば下げるほど、眠っている時間の割合は増え、スリープ中の電流が寿命を支配するようになります。

スリープ電流の違いが電池寿命に与える影響を、簡単な試算例で見てみましょう。

スリープ中の電流電池寿命の目安
10μA約6年
100μA約1.8年

送信の動作は、まったく変えていません。眠っている間の電流が少し増えただけで、寿命が3分の1以下になりました。

つまり電池を長持ちさせる設計とは、「通信頻度をどこまで下げられるか」と「眠っている間の電流をどこまで小さくできるか」の2つを詰める作業です。そして前者は仕様の話、後者は回路・基板の話になります。

IoT機器の電池寿命が計算どおりにもたない3つの理由

① 基板全体では、思ったより電流が流れている

マイコンのカタログには「スリープ時はごくわずか」と書かれていても、基板全体で測ると、はるかに多くの電流が流れていることがあります。

マイコンは眠っていても、その周りにあるセンサーや通信部品、電源部品、電源表示のLEDなどが起きたままになっているためです。

低消費電力設計の本質は、マイコンだけでなく基板全体を対象に、不要な消費電流を一つひとつ削減していくことです。

② 電池は残っているのに、動かなくなる

「電池はまだ十分あるはずなのに、送信しようとすると再起動してしまう」

これもよくある症状です。データを送る瞬間には、普段よりずっと大きな電流が一気に流れます。ところが一般に長寿命用途で用いられるコイン電池や一次電池の中には、大電流パルスの供給を得意としないものがあります。その結果、一瞬だけ電圧が下がり、機器がリセットしてしまうのです。

対策としては、電池のそばにコンデンサ(電気を一時的にためる部品)を置き、瞬間的に必要な分はそちらから供給する、といった設計を行います。

③ 低温環境では電池性能が大きく低下する

屋外に設置する機器では、これが効いてきます。電池は温度が下がると性能が落ちるため、夏は問題なく動いていた機器が、冬になって一斉に止まる、ということが起こります。

通信頻度は、仕様を決める段階でしか下げられない

通信頻度を減らせば、一般的に電池寿命は大幅に延びます。ここまではシンプルな話です。ところがこれは、回路設計が始まってからでは、ほとんど手が出せません。「何分ごとにデータが必要か」は、その時点ですでに仕様として決まっているためです。

逆に言えば、仕様がまだ固まっていない段階であれば、まだ減らせる余地が残っています。たとえば、次のような点です。

・そのデータは、本当に1分ごとに必要でしょうか
・前回と値が変わっていないときは、送らずに済ませられないでしょうか
・何回分かをまとめて、1回の通信で送ることはできないでしょうか

送信頻度は、企画や営業のご要望で決まっていることが多い項目です。しかし「1分ごとの更新」と「電池5年」は両立しません。回路の工夫で埋められる差ではないため、仕様を決める段階で必ず検討しておくべきです。

電子機器ユニット 構想設計サービス

実測しなければ、本当の原因は特定できない電池がもたない原因は、計算では見つかりません。

実機では「本当は眠っていなかった」「思ってもいないタイミングで何かが動いていた」ということが頻繁に起こるためです。これは実際の電流を測って初めてわかります。

しかも待機中のごくわずかな電流と、送信時の大きな電流を同時に捉える必要があるため、一般的な測定器では対応できません。

試作(PoC)の段階で、必ず消費電流を実測しておくことをおすすめします。

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電子機器ユニット 受託開発・製造センターを運営するSST設計開発センター株式会社では、構想設計から回路・基板設計、機構設計、製造・組立・試験までワンストップで対応しています。

・「電池寿命が仕様を満たさず、原因が分からない」
・「電池は残っているのに、送信時にリセットがかかる」
・「屋外に設置したら、冬になって止まってしまった」
・「電池を○年もたせたいが、そもそも実現できるのか検証してほしい」
・「電池交換できる構造と、防水を両立させたい」

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