開発・設計 豆知識

環境規制(RoHS規制)をクリア!鉛フリーはんだ実装の難題克服と代替材料の選び方

  • 製造・組立

>>電子部品調達・基板実装サービス

環境対応の波と鉛フリー化がもたらした技術的課題

2006年のEU RoHS指令施行以降、電子機器製造から鉛を排除する動きは世界の標準となりました。この環境規制対応は必須である一方、従来の共晶はんだ(Sn-Pb、融点約183℃)から、主にSn-Ag-Cu(SAC)系の鉛フリーはんだ(融点約217℃〜227℃)への移行は、実装現場に色々な課題をもたらしました。

最大の問題は、融点上昇による熱ストレスの増大です。基板や部品へのダメージ、反りやクラックの発生リスクが高まるほか、高温環境でははんだの濡れ性(広がり)が低下し、はんだ付け不良が増加しました。

鉛フリーはんだ実装への対応策

①実装プロセスの最適化

    鉛フリーはんだで高い品質と歩留まりを確保するには、熱ダメージを抑えつつ、確実な接合を実現する緻密なプロセス管理が不可欠です。

    1. リフロープロファイルの徹底管理

    • 予熱ゾーンの設計: 基板と部品の温度差を均一にし、急激な昇温を避けることで熱ストレスを軽減します。
    • ピーク温度の抑制: 可能な限り低いピーク温度(SAC系で235℃〜245℃程度)に設定し、高温での滞留時間を短縮します。
    • 冷却スピードの最適化: ピーク後は急速に冷却することで、はんだ接合部の金属間化合物層(IMC層)の過成長を防ぎ、接合信頼性を向上させます。

    2. 窒素(N₂)雰囲気による酸化防止

    リフロー炉内に窒素ガスを導入することで、酸化の発生を抑制できます。この対策は、はんだ濡れ性を劇的に改善し、特に狭ピッチや小型面実装部品(0603 等)におけるボイドや未はんだなどの不良の低減に極めて有効です。

    ②代替材料の選定

      環境規制だけでなく、熱に弱い部品への対応を行うためにも、はんだ合金(Sn-Ag-Cu(SAC)系の鉛フリーはんだ)の採用も重要になります。

      1. 低温実装用はんだ合金

      • Sn-Bi系合金(例:Sn-Bi-Ag/Cu): 融点が200℃以下のものが多く、樹脂部品、センサー、フレキシブル基板(FPC)など熱に弱い部品の実装においての利用に向いています。ただし、耐衝撃性がSAC系より劣る場合があるため、用途に応じた評価が必要です。

      2. 耐熱疲労性合金

      • SAC Ni添加合金: 標準的なSAC合金にニッケルなどの微量元素を添加することで、熱疲労信頼性をさらに高めた合金です。特に車載用途や高温環境で使用される製品で採用が進んでいます。

      鉛フリー実装は、単なる規制対応ではなく、製品の長期的な信頼性を左右する重要なプロセスです。適切なプロセス管理、部品特性に応じたはんだ・材料の選定が、環境規制対応と高品質なものづくりを両立させる鍵となります。

      基板・電子機器の開発・製造ならお任せください。

      いかがでしょうか。今回は、鉛フリーはんだ実装の難題克服と代替材料の選び方を解説しました。製品の用途、求められる信頼性、環境規制への対応などを総合的に考慮し、最適なはんだ材を選択することが重要です。

      電子機器ユニット 受託開発・製造センターでは、構想設計から回路設計・基板設計・機構設計、さらには製造・試験までワンストップで対応しています。このワンストップ対応体制により、電子機器ユニットの試作・開発を丸投げできるパートナーとして幅広いお客様のご要望を解決してまいりました。 組込みボード・基板の開発・設計・製造の委託先にお悩みの皆様、是非一度当社にご相談ください。

      >>お問合せはこちら

      関連する開発・設計 豆知識一覧