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真空注型では、熱可塑性樹脂(ナイロン)も使用できる!?

  • 真空注型

真空注型は、シリコン系樹脂やウレタン系樹脂などの材料を、真空状態でゴム型注入して成形する技術です。主に試作加工で用いられる加工方法であり、短納期で製品を成形できることを大きなメリットです。当記事では、そんな真空注型に使用される材料の種類をご紹介します。

一般的に、真空注型には熱硬化性樹脂が用いられる!

真空注型で使われる材料は多岐にわたりますが、一般的には、熱硬化性樹脂である下記の種類が用いられます。

エポキシ系樹脂

エポキシ系樹脂は、硬度が高く、耐熱性や耐薬品性に優れています。さらに、寸法安定性にも優れているため、精度の高い製品を作ることができます。また、その他とひかくすると、機械的強度にも優れているといえます。

シリコン系樹脂

シリコン系樹脂も、同様に耐熱性、耐薬品性に優れています。また、離型性が高いため、複雑な形状の製品を作ることができます。また、透明なものが多く、着色も可能である点もっ特徴です。

ウレタン系樹脂

ウレタン系樹脂は、硬度、柔軟性、耐衝撃性に優れています。幅広い物性のものが存在し、用途に応じた選択が可能です。また、比較的短時間で硬化するため、生産性が高いという特徴もあります。

ポリカーボネートライク

ポリカーボネートライクとは、高い耐衝撃性、透明性、比較的高い耐熱性、剛性など、ポリカーボネートが持つ特性に似た性質を持つウレタン系樹脂を指します。ただし、「ポリカーボネートライク」であっても、実際のポリカーボネートと全く同じ特性を持つわけではなく、材料の種類やメーカーによって特性に差が生じる点に注意が必要です。

アクリルライク

アクリルライクとは、高い透明性、表面の光沢、比較的容易な加工性、着色性など、アクリル樹脂が持つ特性に似た性質を持つ材料を指します。ただし、「アクリルライク」であっても、実際のアクリル樹脂と全く同じ特性を持つわけではなく、特に耐衝撃性などはアクリル樹脂よりも劣る場合が多い点に注意が必要です。

ABSライク

ABSライクとは、ABS樹脂の特性、特に強度や耐熱性に似せて作られた3Dプリンター用材料です。強度や耐熱性が求められる試作品製作に適しています。ただし、「ABSライク」であっても、実際のABSと全く同じ特性を持つわけではなく、材料の種類やメーカーによって特性に差が生じる点に注意が必要です。

PPライク

PPライクとは、ポリプロピレン(PP)の特性、特に柔軟性や耐衝撃性に優れた材料です。ただし、「PPライク」であっても、実際のPP樹脂と全く同じ特性を持つわけではなく、特に耐衝撃性などはPP樹脂よりも劣る場合が多い点に注意が必要です。

近年では、熱可塑性樹脂(ナイロン)で真空注型できる!

従来の真空注型では、熱硬化性樹脂が主流でしたが、技術の進歩により、6ナイロンのような熱可塑性樹脂も使用可能になりました。これにより、量産部品と同等の材質で試作品を製作できるようになり、開発プロセスの効率化に貢献しています。特に、強度や耐熱性が求められる部品の試作において、6ナイロンの真空注型は有効な手段となります。近年では、ガラス繊維などを添加することでさらに強度を増したガラスナイロンを用いた真空注型も実用化されています。(ちなみに、6ナイロンは、優れた機械的強度、耐熱性、耐摩耗性を持つ熱可塑性樹脂です。)

真空注型の加工事例のご紹介

当社の真空注型の加工事例をご紹介します。

産業用インバータケース

こちらは産業用インバータケースの加工事例になります。ヒートシンクと樹脂部品を組み合わせる際、当社でデータをもとに勘合の確認を行ったところ、いくつかの干渉箇所が見つかりました。お客様に確認したところ、樹脂筐体とアルミ筐体のデータ作成は異なる設計担当者によって行われていたため、最終的な勘合チェックで干渉が発生していたことが判明しました。

その後、当社が樹脂筐体とアルミ筐体の設計・製作を一貫して取りまとめることで、干渉漏れを防ぎ、より正確な組み合わせが可能となりました。

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評価試験用部品

こちらは評価試験用の部品です。大型真空注型による製作が必要でしたが、対応可能な企業が見当たらず、お客様は大変困っていらっしゃいました。

そのため、当社の広範な部品調達ネットワークにご相談いただきました。 当社では、このような大型真空注型の対応実績があり、インサート部品の製作も含めて問題なく対応可能です。製品の軸部分に注型剤が入り込む可能性があったため、加工方法を慎重に検討し、注型剤が入らないような対策を施しました。

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真空注型ならワンストップ部品加工センターにお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は真空注型で使用される材料の種類ついてご紹介しました。ワンストップ部品加工センターを運営しているSST設計開発センター株式会社では、豊富な真空注型の成形事例があるだけでなく、納期短縮やコストダウンを実現したお悩み解決事例も多数ございます。真空注型に関してお困りの方はお気軽にご相談ください。

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