技術情報
ステンレスの切削加工
- 切削加工
当記事では、ステンレスの切削加工について詳しくまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
ステンレス鋼について
ステンレス鋼(SUS)は、優れた耐食性と錆びにくさから、食品・医療用機械、建材、工作機械用部品など、多岐にわたる製品に利用されています。
ステンレス鋼には様々な種類があり、主なものとして、高い硬度を持つマルテンサイト系(SUS410、SUS430、SUS630)、優れた耐食性と耐熱性を兼ね備えたオーステナイト系(SUS303、SUS304、SUS316)、そして、価格が比較的安価で溶接性にも優れたフェライト系(SUS430)などが挙げられます。
ステンレスの切削性について
ステンレス鋼は、その高い耐食性と美しい外観が特徴ですが、切削加工においては難しい材料としても知られています。
その理由の一つとして、熱伝導性が低い点が挙げられます。切削加工の際、工具の先端部分に熱がこもりやすく、工具の破損や材料であるステンレス鋼への熱影響を引き起こしやすくなります。また、ステンレス鋼は粘性が高く、加工硬化しやすい性質も持っています。
そのため、ステンレスの加工を依頼する際には、十分な知見やノウハウがある会社を選定することを推奨します。
ステンレス鋼(SUS)の種類
マルテンサイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼は、クロム量が13%程度とステンレス鋼の中では比較的少なく、炭素量が多いグループです。炭素量が多い分、他の種類より耐食性は劣りますが、硬度と耐摩耗性に優れています。
焼入れにより硬化するため、熱処理条件を選ぶことで幅広い性質を持たせることができます。焼戻しにより靭性を付与することができ、軸受やベアリングの素材としても使用されます。
代表的な鋼種:SUS403, SUS410, SUS440
フェライト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼よりも成形加工性と耐食性、溶接性に優れたグループです。フェライト組織が安定しているため、焼入れなどの熱処理で硬化しません。
極低炭素・窒素のSUS444などの高純度フェライト系ステンレス鋼は、さらに耐食性が強化された種類で、塩化物環境下での応力腐食割れに強い素材です。400℃以上の高温に長時間さらされると、鉄が多い組織とクロムが多い組織への分離が起こり、脆くなります。
代表的な鋼種:SUS430, SUS444
オーステナイト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼は、延性と靭性に優れたプレス成形や冷間加工に適したグループです。溶接性も良いため、溶接組立構造にも使用されます。
熱処理によって非常に高い硬度になります。自動車部品、原子力発電、理化学装置などに使用されています。
代表的な鋼種:SUS304, SUS316
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
オーステナイト系とフェライト系の中間的な特性を持つグループです。オーステナイトとフェライトそれぞれの金属組織を持ち、長所をかけ合わせた物理的性質を持っています。
強度と耐食性に優れ、応力腐食割れに強い特徴があります。海水用復水器や熱交換器、化学プラント用装置に使用されています。
代表的な鋼種:SUS329J1, SUS329J3L, SUS329J4L
析出硬化系ステンレス鋼
析出硬化を起こし、強度を高めたステンレス鋼です。
特にマルテンサイト系の強度が高くなります。高い強度と耐食性が求められるエンジン部品、航空機・ロケットの構造材などに使用されています。原材料が高く、製造が難しいことから、ステンレス鋼の中でも高価です。
代表的な鋼種:SUS630, SUS631, SUS660
当社では、上記のような様々なステンレス鋼の切削加工に対応しております。他社で断られたような案件がありましたら、当社にご相談ください。
当社の切削加工 試作サービスの特徴
①独自の加工ネットワークを活かし、短納期対応・安定供給を実現
単品・試作や小ロットの加工は、切削加工を推奨します。鋳造・鍛造・プレス加工といった金型が必要な加工方法と比較されることもありますが、金型を起こすとイニシャルコスト・金型製作期間がかかります。
その点、切削加工の場合、イニシャルコストを抑えながら、短納期で加工を行うことが可能です。 当社では、独自の加工ネットワークを活かし、樹脂・金属・ゴムなどの様々な材料の切削加工に対応できる体制を整えています。「とにかく急ぎで試作部品が欲しい…」という方もお気軽にご相談ください。
②複雑形状や大型品など、他社では断られた案件もお任せ
ワンストップ部品加工センターでは、1,000社以上の加工ネットワークを保有しているため、複雑形状の加工はもちろん、高精度・微細な切削加工まで対応可能です。
もちろん、ワークサイズが小さな製品から、5面加工機が必要となるような大きな製品まで、柔軟に対応していますので、お気軽にご相談ください。
③ステンレス以外の様々な材質に対応可能
ワンストップ部品加工センターでは、ステンレスの切削加工はもちろん、他社では対応できないようなマグネシウムやタングステン、スーパーエンプラなどの難削材の切削加工にも対応しています。
鉄・アルミ・ステンレスをはじめとした金属、エンプラ・スーパーエンプラをはじめとした樹脂、さらにはゴムなど、あらゆる素材の加工に対応しておりますので、まずは一度ご相談ください。
ステンレス製品の切削加工事例
①検査装置部品
こちらは、検査装置の切削部品です。
当社に依頼をいただく前は、既存の2社で注文をされていましたが、コストの見直しに合わせて当社にご相談いただきました。 その結果、独自の部品調達ネットワークを活用し、他社より10~20%安い金額で対応することができました。もちろんコスト面だけではなく、製品品質にも、満足いただいております。
②ロボットアーム部品
こちらの製品は、ロボットアームの部品です。納期が短く、組立て日程も詰まっていたため、とにかく急いでおられ、スピード対応できる企業をお探しでした。
そこで、1,000社を超える幅広い部品調達ネットワークがある当社にご相談をいただきました。10品種程度のSUS部品の加工でしたが、 当社の部品調達ネットワークを活用することで、他社では、20日以上かかるところ、12日間で納品することができました。
切削試作・量産加工のワンストップ部品加工センターにお任せください!
ワンストップ部品加工センターは、開発・量産の加工パートナーとして、車載・産業機器・医療をはじめ幅広い業界のお客様の必要な部品をワンストップにて提供してきました。
どんな開発案件も、設計からワンストップ対応致しますので、切削試作・量産加工先をお探しの皆様、是非一度当社にご相談ください。
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